製造メーカーの社員インタビューと撮影 会社案内パンフレットデザイン

バルブ製品や工場向けの空調機器の開発・販売を担う伸和コントロールズ。主力製品として、医療や航空宇宙分野の「電磁弁」や空調システムなどを取り扱われています。今回ご依頼いただいたのは、会社案内パンフレット。取引先やメディア、就職活動中の学生などさまざまなステークホルダーとのタッチポイントがある重要なアイテムです。一般に「固め、真面目」と思われがちな製造業のクライアントですが、実際にお会いして取材が進んでいくと、快活で親しみやすく物腰柔らかな雰囲気に、私たちも心地の良い刺激をたくさんいただきました。アートアンドサイエンスが目指すブランディングとは、クライアントが志向するブランドのベクトルがどこを向いているのか、デザインの視点から的確に指し示すもの。そこで、伸和コントロールズ社が掲げる「おもてなし、おもしろおかしく、誇り高く、とことん実行」といウィットに富んだコアバリューを核に据えて、私たちらしい視点からデザインに落とし込んでいきました。提案したのは、モノづくりを担う人々にフォーカスしたパンフレット。同社は、さまざまな“何か”を整える調整機器を製造されている会社。伸和コントロールズは、会社に集う人とモノ、どちらも「いい調子」に“調える”会社なのである。ということをコンセプトに、全体を構成していきました。

以前のパンフレットは製品写真が中心で、人物が登場することはほぼありませんでしたが、今回は巻頭から社員の方々が登場します。表紙には、同社の取り扱い製品に関連する「流体」から連想した“リボン”をモチーフに採用。扉面でねじれて分散しているリボンが、ページをめくると社員の手によって真っすぐなラインに“調えられている”様子を表現しました。ここに、ブランドメッセージを丁寧に落とし込み、調和を生み出す使命を持つ会社であることを訴求。力強く、情熱を感じさせるコーポレートカラーの美しく整ったラインがキーメッセージを後押ししています。実はこの見開きのカット、グラフィックで加工したのではありません。等身大のテープをデザイナーが手作りし、社員の方々にも協力いただいて実際に撮影したものです。人の手で調えるというリアリティを感じさせるため、手間暇を惜しみませんでした。また、人物写真はすべて大きく紙面を割き、奥行きを感じさせている他、風通しの良い社風を意識し、自然光を取り込み、自然体で明るい表情の写真で統一しました。どのページにも複数の人を登場させ、モノづくりのその先に必ず人の存在があることも印象づけています。