注力する再生医療事業を際立たせる、パンフレットデザイン

本案件は、研究施設パンフレットを作成した千代田テクノエース株式会社とその親会社である千代田加工建設株式会社からのご依頼です。両社は、医薬品や医療機器などの生産施設や産業設備に携わるエンジニアリング会社。とくに製造プラント事業については、競合他社をしのぐ抜きんでた技術力をもっていて、国内外から高い評価を得ています。業界では製造プラントでの実績が注目されがちですが、同社は医薬・医療分野で培われた知見を活かして、今世紀の新しい医療として注目されている再生医療の分野にも注力しているのです。本案件は、その再生医療事業に関する強みを訴求するのが狙い。これまでに担当した同社のリーフレットやパンフレットの表紙にはイラストを採用していましたが、同社ご担当者さまの「再生医療をイメージさせる象徴的な表紙にしたい」という強い要望を受けて、CGで再現したクロマチン（真核生物の細胞核にあるDNAとタンパク質の複合体）をキービジュアルに。白地にクロマチンを大胆にあしらうことで、読み手にコンセプトがダイレクトに伝わり、製造プラント事業に限らない同社の新たな一面を強調することに成功しました。

２つ折りパンフレットということもあり、表紙と裏表紙をのぞくと情報を載せられるのは見開き１ページのみ。わすかなデザインスペースで、なにを伝えるのか、どう伝えるのか。何度も打ち合わせを重ね、コンテンツを吟味していきました。最終的に導き出されたのは、再生医療関連製品のあらゆる課題を解決する同社のソリューションを簡潔に伝えること。“NEEDS”、“CONCEPT”、“SOLUTION”からなる事業プロセス“ENGINEERING CONSULTATION FLOW”という概念をご提案させていただき、そのフローチャートを見開きページを使って構成しました。“NEEDS”には顧客がもつ課題や要望の一例をまとめ“CONCEPT”には課題解決にあたっての方針を列挙、“SOLUTION”で「無菌環境の実現」や「メンテナンス動線の確保」といった具体的解決策を提示。チャートを辿れば、簡易的ながらも同社のソリューションの一端をイメージすることができるわけです。ワークフローや導入実績はあくまでも補足情報としてコンパクトに。あえて情報をしぼりこんで、シンプルな構成にしたことで同社の強みをより際立たせる仕上がりになったと感じています。