制作実績

パンフレット制作実績

特許庁

官公庁・行政のレポート インフォグラフィックとパンフレットデザイン

ターゲットへの提供価値を
再定義することで実現した
“脱・お役所”のデザイン

特許庁では、同庁の最新の統計情報や政策の成果を発信することを目的に、毎年「ステータスレポート」を発行しています。約130ページの誌面に、膨大な情報量が盛り込まれる本冊子。アートアンドサイエンスでは、その2019年度版のデザイン・制作業務を受託しました。ステータスレポートのターゲットは、国内外の産業財産権ユーザー(企業等の担当者、弁理士、研究者、庁内外の施策担当者など)。特許庁の審査業務の強みを訴求し、特許庁のサービス利用、つまり特許・商標・意匠の出願を促進する役割を担っています。そのため、ターゲットが関心を持って手に取りたくなるような、また特許庁の特長・強みを理解しやすいようなデザインが求められていました。特許庁は、2018年に「デザイン経営」を掲げてサービス変革を推進するなど、デザインを用いた課題解決や価値創造に積極的に取り組んでいます。ステータスレポートについても、いわゆる“お役所”的なイメージを脱却し、ターゲットの興味・関心を喚起できるようなものを目指したいという意向がありました。そこでまずは、「ターゲットである産業財産権ユーザーの興味関心を喚起し、特許庁のサービスを利用する意欲を高めてもらう」という目的を踏まえ、ターゲットに伝えるべきことを整理。「特許庁は、知的財産権を事業戦略の武器として活用していきたいと考える企業・団体のパートナーです」というメッセージを設定しました。知的財産は、それを保有する企業・団体にとって重要な資産であり、権利化することで、成長・飛躍のための「武器」になる。そんな知的財産権ユーザーの“攻め”の戦略に並走するのが、特許庁の本質的な役割であると定義したのです。その上で、クリエイティブ方針を設定。従来の信頼できる・誠実な印象は維持しながらも、知的財産を有する企業や団体の成長・飛躍を支える「知的」かつ「挑戦的」なパートナーとして若々しさ・躍動感のあるイメージを目指すことにしました。

魅力的な紙媒体を実現するのは
コンセプトを具現化する力と
エディトリアルデザイン力

目玉コンテンツは、特許庁の審査業務の特長や前年度の活動成果を見やすくまとめたインフォグラフィックです。表やグラフの羅列になってしまいがちな数値情報をグラフィカルにまとめることで、読み手の情報取得にかかる負荷を低減しました。さらに今回は、表紙デザインにもインフォグラフィックの要素を持ち込んでいます。「世界最速(Speed)」「正確で高品質(Quality)」「国際連携(Network)」という、特許庁の審査業務の3つの特長にフォーカス。この特長を「スピーディかつ正確に、お客さまに大切な荷物を届けることができる宅配便」になぞらえて、「IP EXPRESS」というデザインコンセプトを打ち出しました。知的財産権を、スピーディかつ正確な審査で、それを必要とする企業・団体に届ける。そんな「IP EXPRESS」を具体的に表現した「箱」のビジュアルを、表紙、そして3つの中扉に配しています。表紙はもちろん、冊子全体で若々しさ・躍動感を感じさせるビビッドなカラーを採用。ピンク/グリーン/パープルの各色で中面のパートを区分し、読み手が冊子の全体構造を把握しやすいようにしています。また今回は、特に国外の産業財産権ユーザーを重要ターゲットとしていたため、日英併記の誌面でいかに英語を読みやすく掲載するかも大切なポイントでした。例えば、日本語と英語では適切な行間幅が異なるため、それぞれに合った行間幅を設定する必要があります。その上で、日本語と英語で章・節・項の位置が極力ずれないよう、エディトリアルデザインの技を駆使して誌面をまとめていきました。コンセプト設計と、デザインアイデア、そしてエディトリアルデザイン。すべての要素を掛け合わせてクオリティの高いアウトプットへと昇華したことを、高く評価いただきました。