アパレル系企業の型抜き加工を施した会社案内デザイン

130年の長い歴史がある神栄グループ。その中で繊維業界の環境変化に対応し、機動的な事業運営を図るために誕生した神栄ライフテックスの会社案内作成依頼です。第一に伝えなくてはいけないのは、歴史のあるグループ会社が時代に即した形に体制を整え、新たなフェーズへと向かうということ。そしてアジアのネットワークが強みであるということです。そこを直接的に分からせる必要がありました。また、会社案内でありながら営業ツールとしても機能させるカタログにしたいという要望がありました。

そこで、オーダーにマッチする構成からまず考えました。通常の会社案内では沿革は最後の方にさらっと書いてあるのが定石ですが、今回はグループの繊維関連事業の歩みを最初の見開きに持ってくることで、会社の歴史やアンデンティティを強く伝えるよう工夫しました。そして、創業の地である神戸や生産ネットワークのあるアジア、現在会社のある東京の写真は空や海など広がった印象のある画をチョイスし、その土地を象徴する建造物を大胆にあしらうことで、拠点が3つに分かれていることを直接的に表現しました。

この会社案内の最大の特徴は表紙にあります。表紙と裏表紙にかけて、66パターンのテキスタイルをずらりと配置しています。そしてこれだけで完成している表紙に、あえてカバーをプラスして付けた点にクリエイティビティが発揮されています。このカバーはさまざまな洋服の形が型抜きされているものです。本体にはめ込むと、テキスタイルが色とりどりの洋服へと変化します。これは素材開発から製品化まで、商品開発から販売までを行う企業だということを端的に表すための仕掛けです。カバーの洋服たちは引き抜くアクションを起こすことで、さまざまな色柄に変化します。その動作を含め、営業の際のコニュニケーションのきっかけとなるよう工夫しました。カバーは完全に引き抜くと塗りを施してあることが分かります、これは新しいロゴのカラーを採用し、ブランドカラーの浸透を図りました。企業の継続性が、新規の取引の際に重要視される業界だからこそ、ただおもしろいを作るということだけではなく、信頼性と遊び心を両立させることで、BtoBツールとして成立させています。