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書籍『ウラからのぞけばオモテが見える』

世界的に評価の高いプロダクトデザイナー佐藤オオキさんの「考え方事例集」とでも言うべき本書。「全く見たことのないものではなく、本来あるべきものであるはずなのになぜかなかったもの、それを補完するように仕事をしていく」という佐藤さんの言葉のように、突飛なアイデアやアートに近いような「インスピレーションに満ちあふれた作品」はほとんどなく、「改善」を重ねる製造業の品質管理担当者の様に「より良くしていく」ための、方法と着眼点を掘り下げる内容。本書は個人的に2013年度のデザイン/アイデア関連書籍でも特にためになった本です。
とにかく大上段に構えるような物言いはまったくなく、リラックスしたカジュアルな雰囲気で文章が進んでいく(インタビューなどを元にしているため)のですが、事例で紹介される考え方のポイントや最終的に出来上がった事例の説得力に、ぐいぐい引き込まれ知的興奮を味わいます。
本書の中でも特に印象に残った言葉「左脳を使って、受け手の右脳にどう刺激を与えるかをいつも考えている」という一文は、まさに佐藤オオキさんの仕事ぶりを表現するのに最適な言い回しであると同時に、いま、企業や商品のデザインに求められていることが凝縮されているのではないでしょうか。ちなみに、わたしたち「アート&サイエンス」もその社名にこれと近い志を込めたつもりですが、佐藤さんの徹底ぶり、仕事のクオリティの高さにはまた格別説得力があり身が引き締まります。

Amazon:ウラからのぞけばオモテが見える (佐藤オオキ/nendo・10の思考法と行動術)

出典・参照
出版社: 日経BP社 (2013/10/17)
ISBN-10: 4822264858
ISBN-13: 978-4822264857
発売日: 2013/10/17
記事更新日
2014年02月20日
カテゴリー
デザイン